英会話に語彙力は必要ない

語彙力はたくさんあればあるほど良いと思われそうですが、ことSpeakingとなると実は必ずしもそうではないのだと思います。


リスニングやリーディングといったインプットの場合は、たくさん単語を知っている方が有利に働くことは間違いありません。どんな素材を使うかによっても出てくる単語は違ってきますが、ニュースを英語で聞いていれば難しい単語がたくさん出てきますし、洋書を読んでいればこれまたやはり難しい単語がたくさん出てきます。洋画や海外ドラマを見ていると、口語的な表現やスラングがたくさん出てきます。内容によっては、時に専門用語も出てきたりしますから、知らない単語のオンパレードです。


 英語で会話をしている時でも、相手がこちらのレベルに合わせて易しい単語や分かりやすい単語を使ってくれればいいですが、必ずしもそうではない。単語がわからないために相手の言っていることが分からないということも生じてきます。なので、語彙力はやはり大切と言えます。聞き取れなければ返事を返すこともできないわけですから、会話が成立しなくなってしまいます。

一方自分が英語を話すという時には、当然知っている単語しか使いません。ということはやはりたくさん単語を知っていればスピーキングの際にも有利に働くのではと思いますよね。ところが実際にはそう単純にはいかないのです。知っている単語=使える単語ではないので、たくさん単語を知っているからと言って必ずしもすらすら英語が出てくるわけではありません。


わかりやすくするために、ちょっとファッションの話に例えてみますね。クローゼットの中にたくさんの服がある。にも関わらず毎日何を着ていくか悩む、ということありませんか?ちょっと前に『フランス人は10着しか服を持たない』という本が流行りましたが、お洒落をするために必ずしもたくさんの服が必要なわけではないのです。持っているものが少ないと、かえって選ぶ時にそんなに迷うことはありません。少ない数の服を色々コーディネートすることで、バリエーションを増やすこともできるわけです。毎朝着る服に迷うという人は、実は服を持っていないから迷うのではなくて、たくさんあるんだけれども何を着ていいかわからない、たくさんありすぎて整理ができていない、場合によっては自分に合わない服や流行遅れの服が混ざっていたりもするわけです。机の引き出しの中がごちゃごちゃになっていて必要なものが必要な時にすぐに取り出せないなんていうのとも似ています。


英会話でも実はこれと全く同じことが起こるのだと思います。たくさんありすぎて必要な単語が取り出せない。使ってみたけれどもどうもそのシチュエーションに合っていない、なんてことも。ではどうすればいいか。ファッションの話に例えてみると、まずは服を減らせばいいわけです。とは言っても、何も知っている単語を忘れろということではありません。インプット用の単語とアウトプット用の単語を分ければいいわけです。実際に使う単語を絞り込むということです。そしてその中でどんどん使っていく。使えば使うほど馴染んでくるので、自分のものになっていきます。そうやってアクティブに活動できる単語を増やしていく。


ここでまたファッションの話に例えてみましょう。たくさん服を持っているという人は、似たような服をたくさん持っているということがよくあります。同じ色のよく似たデザインのセーターを持っているのに、うっかりまた同じようなものを買ってしまった。そんなことありますよね。英語の単語も同じで、同じような意味でいろんな単語があります。例えば「美味しい」という時にdeliciousということもできればgoodということもできます。tastyという単語もあります。味が濃厚なという意味でrichという単語もあります。mouth-watering, appetizing...  探せば色んな単語が出てきます。もちろんそれだけ全ての単語を知っていて、その時に応じて使い分けることができれば素晴らしいです。でもたったひとつのgoodという単語で代用することも可能です。実際、一番よく使うのはgoodではないかとも思います。


単純な例を挙げてみましたが、まずスピーキング初心者の人には、とにかく語彙力を増やすというよりも、使う語彙を絞っていくことで会話をスムーズに運ぶということが大事なポイントだということです。


英語を勉強するには、そんなふうに目的に応じてちょっと戦略的に、ある意味ちょっとずるく勉強することも必要だと思います。私も決して語彙力が豊かではなかったので、会話の時にはシンプルな表現をたくさん使って上手にごまかしていました。今でもそういうことはしょっちゅうです(笑)でもそれも大事なこと。ある一定のレベルに達するまでは、そういった形でシンプルな単語や表現、いろんな場面で使い回しができる表現というのを中心に、とっさに口から出てくる単語をどんどん増やしていくということが大事。そしてある一定のレベル、中級以上のレベルに達した時に、もっと豊かな表現を身につけたい、もっとバリエーションを増やしたいと思うようになると思います。そう思った時には、ちょっと難しめの本を読んでみたり、ネイティブが会話の中で使うような表現を参考にして、ちょっと粋な表現を取り込んでみたり。そして自分の英語力をさらにアップさせていけばいいのではないかなと思います。学習方法はレベルに合わせて柔軟に変えていくことが必要。


これから英語を勉強していこう!という初心者の方、リーディングやリスニングなどのインプットは得意なんだけれどもスピーキングとなるとちっとも駄目という方。豊富な語彙力、豊かな表現力といった理想をちょっと手放してみて、まずはいろいろ使えるシンプルな単語、アクティブに使える単語を増やしていくということを意識してみられると、スピーキングへのハードルが随分と下がるのではないかなと思います。私もそういう風にして英語での会話が随分と楽になりました。



わたしの英語学習法

学生時代から現在まで20年以上にわたる英語学習の軌跡。今も現在進行形で学習中。

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